年金生活で「非課税世帯」になるメリット・デメリットと年金以外の支援制度 💰
年金生活において、「非課税世帯」になるかどうかは、家計に大きな影響を与えます。
住民税が非課税になることで、さまざまな公的な優遇措置を受けられる反面、いくつかのデメリットも存在します。
この記事では、年金生活者が「非課税世帯」になる基準、その具体的なメリットとデメリット、そして年金以外に受け取れる代表的な公的支援制度について解説します。
1. 「非課税世帯」の基準とメリット・デメリット
「非課税世帯」とは、世帯全員が住民税の均等割・所得割の両方が課税されない世帯を指します。
年金生活者の場合、収入が一定額以下であれば非課税世帯になります。
🔹 非課税世帯の基準(年金収入の目安)
非課税になる基準は、お住まいの地域や扶養家族の有無で異なりますが、単身者の場合、年金収入が概ね155万円以下(65歳以上)が目安となります。
🔹 メリット:経済的負担の大幅軽減
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| ① 住民税の支払い免除 | 住民税の均等割(約5,000円)と所得割(前年所得の10%)が免除されます。 |
| ② 介護保険サービスの自己負担軽減 | 介護保険サービスの利用者負担割合や、高額介護サービス費の負担上限額が軽減されます。 |
| ③ 国民健康保険料(税)の減額 | 国民健康保険料(税)が、所得に応じて7割、5割、2割のいずれかが軽減されます。 |
| ④ 高額療養費の自己負担限度額の軽減 | 医療費の自己負担限度額が低く設定され、入院などで医療費が高額になった場合の負担が大幅に軽くなります。 |
| ⑤ 公営住宅の家賃優遇 | 公営住宅に住んでいる場合、家賃の軽減措置を受けられることがあります。 |
🔹 デメリット:収入が極端に低いことの裏返し
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| ① 収入の余裕がない | 非課税になるということは、生活費に回せる手取り収入が非常に少ない状態であることを意味します。 |
| ② 将来の増額が見込めない | 年金収入を増やそうとすると非課税ラインを超えてしまい、各種優遇措置を受けられなくなるため、収入増に踏み切りにくい側面があります。 |
2. 年金生活者が受け取れる「年金以外の支援制度」
年金収入が低いために非課税世帯に該当する方、またはそれに近い方は、年金とは別に以下の公的支援制度を受け取れる可能性があります。
1. 年金生活者支援給付金(要申請)
年金だけでは生活が苦しい方を支援するために、年金に上乗せして支給されるお金です。
- 対象者(老齢年金の場合):
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 世帯全員の住民税が非課税である
- 前年の年金収入とその他の所得の合計が90.9万円以下である(単身の場合の目安)
- 注意点: 該当する方には請求書が送付されますが、ご自身で請求手続き(申請)が必要です。
2. 高額介護サービス費の軽減
介護サービスを利用した際の自己負担額が、所得に応じて軽減されます。
- 対象者: 住民税非課税世帯の方。
- 詳細: 施設サービスや居宅サービスを利用した際に、自己負担額が所得段階に応じて区分され、一般世帯よりも大幅に低い金額に抑えられます。
3. 医療費の自己負担限度額(高額療養費制度)の軽減
月の医療費の自己負担額が、非課税世帯は最も低く設定されます。
- 対象者: 住民税非課税世帯の方(低所得者区分)。
- 詳細: 外来・入院問わず、ひと月の自己負担限度額が一般世帯の約半分以下に抑えられます。
非課税世帯は「制度活用」が必須
年金生活における非課税世帯は、経済的なセーフティネットが非常に手厚くなるのが最大のメリットです。
しかし、年金制度や支援制度は自動的に優遇されるものばかりではありません。
- 住民税非課税であること
- 年金生活者支援給付金を請求すること
- 介護・医療の自己負担軽減制度を活用すること
この3つを意識し、ご自身の生活に必要な支援制度を漏れなく活用することが、年金生活を安定させるための重要な鍵となります。
